109円台を突破したドル円はなぜここまで強いのか?

先週の対ドル通貨騰落率

※世界の通貨強弱を可視化し、現在の「相場のテーマ」の推測に役立てています

先週は全体的には「ドル安相場」。ファイブアイズや、ブラジル・南アなど高金利通貨が買われ、日本や中国など東アジア通貨が売られた。2月時点における米国の物価上昇が限定的なことや、足元の欧州中銀の金融緩和継続姿勢が示されたことで、投資家のリスク・アピタイトが高まったものと推測される。

 

先週の主な出来事

8日:中国の王文濤商務相は記者会見で「中国政府は東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)を正式に承認した」と明らかにした。「批准が早いほど、各国国民も早く恩恵を受けられる」とも語り、早期の発効に向けて他の参加国にも国内手続きの加速を呼びかけた。

9日:外国為替市場で円相場は一時、9カ月ぶりの円安・ドル高水準となる1ドル=109円台をつけた。米国で近く大規模な経済対策が成立し経済が早期回復するとの期待に加え、米金利の上昇も受け円売り・ドル買いが進んでいる。

菅義偉首相は、インドのモディ首相と電話で40分程度協議した。両氏は米国とオーストラリアを含めた日米豪印の協力を着実に進めると申し合わせた。

中国外務省は、中国当局による国内外メディアへの言論統制を批判する文章を公表した英国のウィルソン駐中国大使を呼び出し「不当な文章に対する厳正な申し入れ」をし抗議した。

日米両政府は16日に都内で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開く。共同発表する文書は、沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入などを繰り返す中国を名指しし、批判するよう調整する。

10日:円相場が急速に下落している。米長期金利の上昇で日米金利差の拡大に着目した円売り・ドル買いが活発になっているためだ。市場では、低金利の円を借りて高金利通貨を買う「キャリー取引」が本格的に復活するとの見方が浮上する。

ブラジルが新型コロナウイルスの新規死者数で米国を抜き、世界最多となっている。感染力が高い変異ウイルスの流行に加えてワクチンの接種遅れも響く。

11日:中国の李克強首相は、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕を受けて記者会見し、中国にとって核心的利益である香港などに対する米国の「内政干渉」をけん制した。一方で「協調できる分野がたくさんある」と米国に対話も呼びかけた。

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が11日採択した香港の選挙制度見直しは、さまざまな手段を使って民主派排除を徹底する狙いがある。香港では今後1年で主要選挙が相次ぐが、民主派の多くは収監され、選挙に参加できるかどうかも不透明。

欧州中央銀行(ECB)は政策理事会を開き、今後3カ月間の資産購入をこれまでより「かなり速いペースで実施する」と決め、発表した。新型コロナウイルスの感染拡大リスクが消えず、経済・物価の回復が力強さを欠くなか、金利だけが上昇する事態を避ける狙いがある。コロナ対策の資金供給の特別枠は1兆8500億ユーロ(約240兆円)のままだが、より積極的に国債などの購入を進めていく。声明文では「市場の状況にあわせて柔軟に」資産購入を進める考えを強調した。主要政策金利は0%、中銀預金金利はマイナス0.5%に据え置いた。

12日:中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会の法制工作委員会の張勇副主任は記者会見し、香港の選挙制度の見直しを「迅速に進める」と強調した。

日本や米国など先進7カ国(G7)の外相は、中国の全国人民代表大会(全人代)が採択した香港の選挙制度見直し決定について声明を出し、民主的な要件を損なうとして「重大な懸念」を表明した。G7議長国の英政府が発表した。

米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、前日比293ドル05セント(0.9%)高の3万2778ドル64セントと3日続けて過去最高値を更新した。米政府の追加経済対策や新型コロナウイルスのワクチン普及による景気回復期待から、恩恵を受ける景気敏感株に買いが入った。

ロシア外務省のザハロワ情報局長は定例記者会見で、米国が日本に中距離ミサイルを配備すれば、ロシアは対抗措置を取ると警告した。米政府が検討するアジアでのミサイル網の強化は「米国や同盟国の安全を高めることにならない」と主張し、米国をけん制した。

13日:日銀が上場投資信託(ETF)の買い入れを大幅に減らしている。2021年の購入額は12日時点で計3507億円と7年ぶりの低い水準だ。過熱気味の株式市場で日銀の買い入れがもたらす副作用を意識し、18~19日の金融政策決定会合では株高局面での購入を抑制する政策修正を検討する。日銀内では年6兆円という購入額の目安を削除する案も浮上する。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国が建造中の4隻目の空母について動力を原子力とする案が検討されていると報じた。実現すれば、中国初の原子力空母となる。

 

先週のドル円相場レンジ(変動範囲)

始値:108.39
安値:108.31
高値:109.24
先週末の終値:109.04

 

先週のドル円相場サマリー

先週のドル円相場は、週明け108.39からスタート。週初は売り買いが交錯する中で108.31まで下落したものの、徐々に買いが優勢となり、9日午前にドル円は109.24の今週高値をつける。しかし10日に発表された米2月消費者物価指数が予想比下振れの前年比+1.3%に留まると、米早期利上げ観測が後退、徐々にドル安が優勢となり、ドル円は伸び悩み108円台ミドルまで押しも戻された。その後、11日にECBがPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の拡大を公表すると、株式市場はこれを好感、全体的にリスクオン相場となる中で、週末にかけてはドル円は値を戻し、再び109円台に値を戻した。週末は109.04でクローズ。

 

2020―2021年のドル円の安値・高値(目安レンジ)

安値:101.18
高値:112.22

 

テクニカル分析指標

移動平均13週:105.07
移動平均26週:104.84
移動平均52週:106.02
RSI14週:70.28

※Relative Strength Indexは50が基準、70より上は買われすぎ、30より下は売られすぎ

 

主な経済指標と政治イベントの予定

今週

15日―17日:米ブリンケン国務長官来日
16日―17日:FOMC
17日:日銀資金循環統計(10月~12月分)
18日:米中高官協議
18日―19日:日銀金融政策決定会合

 

来週以降

4月22日:ECB
4月26日―27日:日銀金融政策決定会合
4月27日―28日:FOMC
5月25-28日:特別年次総会 シンガポール開催
6月1日:ECB
6月11-13日:主要7カ国首脳会議(G7サミット) 英南西部コーンウォール開催
6月15日―16日:FOMC
6月17日―18日:日銀金融政策決定会合
7月15日―16日:日銀金融政策決定会合
7月22日:ECB
7月27日―28日:FOMC
8月:ジャクソンホール会議
9月9日:ECB
9月21日―22日:日銀金融政策決定会合
9月21日―22日:FOMC
10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
10月28日:ECB
11月2日―3日:FOMC
12月14日―15日:FOMC
12月16日:ECB
12月16日―17日:日銀金融政策決定会合

 

今週の相場に向けて

先週のドル円相場は、下落する局面も見られたものの、総じて底堅く109円台を維持してのクローズとなりました。今週は週末に日銀金融政策決定会合も控え、日本の金融緩和姿勢に変化があるか注目が集まります。

ポイントはドル安やドル高に左右されることなく「円安」が進んでいることです。米長期金利上昇→米利上げ観測の局面ではドル高によりドル円は上昇し、米長期金利低下→米テーパリング観測の後退ではリスクオンで円売りとなることで、どのような局面でもドル円は上昇しています。

本文のテクニカル分析指標に添付しております長期チャートのテクニカルラインをみれば110円前後が、ドル円の下落トレンドのキャップ(上限)になっていることがみてとれます。ここを抜けてくるようですと、さらなるドル円の上昇が予想されます。ここを抜けるかどうかを判断してから、ヘッジの判断や、投資の判断をされても良いかと思います。私は自身のドル買いポジションを少し減らして、一旦は様子見の方針です。

 

 

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戸田 裕大

若竹コンサルティング 創業者