米10年債利回りが1.60%を突破し為替は素直にドル高

先週の対ドル通貨騰落率

※世界の通貨強弱を可視化し、現在の「相場のテーマ」の推測に役立てています

先週も「ドル高相場」が継続しました。スイス・日本・欧州など低金利/安全資産とされる通貨が売られ、ドルが買われたことが特に印象に残っています。そのほか、比較的緯度の高い地域の国、すなわちノルウェー・カナダ・ロシアは堅調に推移しました。大分と気候が温暖になってきて、経済活動の再開が織り込まれているように思います。また新興国は軒並み苦戦が続く中で、中国の人民元は全人代開催期間中も底堅く推移しました。

 

先週の主な出来事

28日:タイのバンコクで、民主化や王室改革を要求するデモ隊と警官隊が衝突し、警官1人が心臓まひで死亡した。

3日:英国がおよそ半世紀ぶりに法人税率を引き上げる。現行税率の19%を23年4月に25%とする方針。新型コロナウイルスによる経済危機からの脱却後、財政再建に着手する姿勢を示した。米国のバイデン政権も法人税を引き上げる方針を示しており、長年続いてきた世界的な法人税率の引き下げ競争の流れが変わる可能性

英政府は温暖化対策などの資金を調達するため、同国として初めて個人の資産運用向けの金融商品として「グリーン貯蓄ボンド」(環境債)を発行する方針を決めた。

欧州主要国がインド太平洋地域への艦艇派遣を拡大する。フランスがフリゲート艦を展開し、英国やドイツも計画を進める。新型コロナウイルス発生や香港の統制強化で不信を高めている中国への警戒がある。日本も安全保障面で協調を深める。

4日:米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は討論会で、足元の長期金利の上昇に対して「市場の混乱が起きれば不安材料になる」と述べ、市場動向を注視していく考えを強調した。インフレ懸念には「一時的な物価上昇には忍耐強くあたる」とも指摘し、大規模な金融緩和を長期にわたって続ける方針を改めて表明した。

日米両政府は3月中旬にも米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日する調整に入った。茂木敏充外相がブリンケン氏、岸信夫防衛相とオースティン氏がそれぞれ会談する。外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の開催も検討する。中国の軍事力拡大を踏まえた日米同盟の抑止力の強化を確かめる。

自民党内で台湾との関係を重視する動きが強まってきた。バイデン米政権をはじめとする国際社会と連携して中国に対抗する一環で、外交部会は台湾情勢を議論するプロジェクトチーム(PT)を新設した。派閥抗争と連動して親中派と親台派が党を二分した歴史は遠くなりつつある。PTの名称は「台湾政策検討プロジェクトチーム」

5日:菅義偉首相は、新型コロナウイルス対策で東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に発令している緊急事態宣言について、7日までの期限を21日まで再延長すると表明した。また参院予算委員会で、観光支援策など一連の需要喚起策「Go To」キャンペーンの月内の再開について「現時点ではなかなか難しいだろうと思う」と述べた。

円安・ドル高が加速。円相場は5日朝の東京外国為替市場で一時1ドル=108円台と2020年7月以来およそ8カ月ぶり安値をつけた。米長期金利の上昇を受け、日米金利差が拡大するとの見方から投資家の円売り・ドル買いが優勢になっている。5日の米債券市場で10年物国債の利回りが一時1.62%と前日より上昇(2020年2月以来の高水準)した。

全人代のポイント:今年の成長率目標は6%以上 。今年の物価目標は3% 。為替レート(USD/CNY)を安定させる 。5年間の失業率目標は5.5%以内 。イノベーションに資源投入の方針 。研究費用は年率+7%で増加の方針。CP「TPP」への参加を積極的に検討 。思慮深く(堅実で)柔軟な金融政策を継続 。3.65兆人民元の債券発行予定。

 

先週のドル円相場レンジ(変動範囲)

始値:106.57
安値:106.36
高値:108.64
先週末の終値:108.38

 

先週のドル円相場サマリー

先週のドル円相場は、週明け106.57からスタート。週初はドル売りから始まり、東京時間に106.36まで値を下げたが、ここから怒涛のドル買い相場へと突入。ほぼ押し目なく、じりじりと上昇を続けたドル円は、水曜日に107円、金曜日に108円を突破し、金曜日NY時間の強い米2月雇用統計を受けて108.64まで上昇。その後は大きな値動きはなく、週末は108.38でクローズ。

 

2020―2021年のドル円の安値・高値(目安レンジ)

安値:101.18
高値:112.22

 

テクニカル分析指標

移動平均13週:104.68
移動平均26週:104.73
移動平均52週:106.00
RSI14週:68.01

※Relative Strength Indexは50が基準、70より上は買われすぎ、30より下は売られすぎ

 

主な経済指標と政治イベントの予定

今週

9日:OECD経済見通し
10日:IOC総会(12日まで)
10日:2月の米消費者物価指数
10日:2月の中国消費者物価指数
11日:ECB理事会

 

来週以降

3月16日―17日:FOMC
3月18日―19日:日銀金融政策決定会合
4月26日―27日:日銀金融政策決定会合
4月27日―28日:FOMC
5月25-28日:特別年次総会 シンガポール開催
6月11-13日:主要7カ国首脳会議(G7サミット) 英南西部コーンウォール開催
6月15日―16日:FOMC
6月17日―18日:日銀金融政策決定会合
7月15日―16日:日銀金融政策決定会合
7月27日―28日:FOM
8月:ジャクソンホール会議
9月21日―22日:日銀金融政策決定会合
9月21日―22日:FOMC
10月27日―28日:日銀金融政策決定会合
11月2日―3日:FOMC
12月14日―15日:FOMC
12月16日―17日:日銀金融政策決定会合

 

今週の相場に向けて

先週のドル円相場は、ほぼ押し目なく上昇を続け、水曜日に107円、金曜日に108円を突破し、金曜日NY時間の強い米2月雇用統計を受けて108.64まで上昇しました。WTI原油先物が1バレル=65ドルを突破する中で、米インフレ期待が高まり、米利上げ観測、テーパリング(金融緩和の縮小)観測が高まり、米10年債の利回りが一時1.60%を突破、日米金利差が意識される中で素直に米ドルが買われている状況です。

引き続き上値の更新が意識される状況ではありますが、ドル円は買われ過ぎの水準に近づいていることがテクニカル分析RSI(添付チャート下段のRSIが68を示唆:70超が買われ過ぎの水準)から見てとれます。また2017年から続くドル安円高相場のトレンドライン(添付チャートの緑色のライン)の上限110円前後も近づいてきています。ですから一旦は利食いも入り、高値圏での攻防が続くと思います。

米10年債利回りの上昇余地は残されていると思いますので、まだまだドル高が進んでもおかしくないと考えていますが、テクニカル的にはこのトレンドライン(110円)を上抜けてくるかどうかが注目点です。

 

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戸田 裕大

若竹コンサルティング 創業者